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ウェザーニューズ、今夏のゲリラ雷雨の発生回数と特徴を発表

2024年のゲリラ雷雨は全国で約7.9万回発生、ピークは8月下旬

〜東京・埼玉では雷回数が昨年比約4倍、被害1位は「交通機関に影響」〜

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株式会社ウェザーニューズ(本社:千葉市美浜区、代表取締役社長:石橋 知博)は、2024年夏のゲリラ雷雨(注1)の発生回数と、「ゲリラ雷雨まとめ調査」の結果を発表します。

<ポイント>
1. ゲリラ雷雨の発生回数は全国で合計78,945回、昨年比約0.8倍、例年比約1.2倍
2. 発生ピークは8月下旬、7月下旬と9月中旬にも多発 猛暑と高気圧縁辺の湿った空気の影響
3. 全国の4人に3人がゲリラ雷雨に遭遇、2人に1人以上が被害

▼ゲリラ雷雨まとめ調査2024
2024年のゲリラ雷雨は全国で約7.9万回、関東は落雷が顕著に
https://weathernews.jp/s/topics/202410/230085/

 

【1】 今夏のゲリラ雷雨の発生回数と特徴

発生回数:全国で合計78,945回発生

今年の夏(7月1日〜9月30日)の全国のゲリラ雷雨の発生回数(注2)は合計78,945回で、昨年(93,590回)の約0.8倍でした。都道府県別の回数を昨年と比べてみると、東日本では昨年並のところが多く、北日本と西日本では昨年より少なくなりました。
今年は西日本を中心に高気圧の勢力が強く積乱雲の発達が抑制されたことで、昨年よりも発生回数が少なくなりましたが、例年(過去5年平均)と比較すると例年並となりました。東日本では気温が高かったことに加えて、高気圧縁辺の暖かく湿った空気が流れ込んだことでゲリラ雷雨が発生しやすくなり、発生が多かった昨年と比較すると同程度ですが、例年よりも多くなりました。
ゲリラ雷雨の発生回数が最も多かった都道府県は沖縄県の6,965回(昨年5,154回)、次いで北海道の5,674回(昨年10,665回)となりました。今年の東京都は1,049回となり、昨年の1,104回と同程度となりましたが、特に7月に多く発生し7月は昨年比2.4倍と多くなりました。

 

発生時期:発生ピークは8月下旬、7月下旬と9月中旬にも多く発生

月別に見ると、全国のゲリラ雷雨の発生回数は、7月25,681回、8月32,966回、9月20,298回となりました。
ゲリラ雷雨が一番多かったのは8月下旬、次に7月下旬、9月中旬となりました。それぞれ昨年の同時期と比べると8月下旬は約0.9倍、7月下旬は約1.0倍、9月中旬は約0.8倍でした。
エリア別で見ると、北日本では8月上旬と下旬の2回ピークがありました。東日本と西日本では8月下旬に特に多くなりましたが、東日本では7月下旬と9月中旬も発生回数が多くなっています。南西諸島では7月下旬と9月中旬が発生のピークとなりました。

 

発生要因:記録的な猛暑と高気圧縁辺の湿った空気の影響で発生

今年のゲリラ雷雨の発生回数は、7月は発生が多かった昨年と同程度でしたが、8月と9月は昨年よりも少なくなりました。
7月の発生回数が昨年並となった要因としては、太平洋高気圧に覆われて晴れたため日中の地上気温の上昇の影響を受けやすかったこと、さらに高気圧縁辺の暖かく湿った空気の影響を受けやすかったことが挙げられます。特に梅雨明け後の7月後半は太平洋高気圧が東日本太平洋側や西日本を覆い、晴れて地上気温が上昇する日が増えました。気温は全国的に高く、1946年の統計開始以降、沖縄・奄美では1位、東日本では1位タイの暑さとなりました。日中の地上気温の上昇に加えて、東日本では高気圧縁辺の暖かく湿った空気の影響を受けてゲリラ雷雨の発生回数が増えました。
8月、9月は前線の通過や台風または熱帯低気圧の接近によって暖かく湿った空気の影響を受けやすく、ゲリラ雷雨が発生しました。市街地でも激しい雷雨となり、道路冠水や落雷などの被害がありました。ただ、高気圧の勢力が強かったため積乱雲の発達が抑えられ、全体の発生回数としては昨年を下回りました。
7月に発表した「ゲリラ雷雨2024」では、発生回数は全国でおよそ87,000回、ピークは8月中旬と予想していましたが、高気圧の勢力が強く積乱雲の発達が抑えられ、一時的に高気圧が弱まったタイミングや高気圧縁辺の暖かく湿った空気が流れ込んだタイミングでゲリラ雷雨が発生したため、当初の予想より少なくなったと考えられます。ただ、1回1回のゲリラ雷雨のインパクトは大きく、組織化した積乱雲が激しい雨を降らせ、都心ではマンホールの蓋が吹き飛ぶなどの被害がありました。また、雷回数(注4)は関東甲信で503,620回で昨年比1.4倍、東京都では60,741回で昨年比3.9倍、埼玉県では111,274回で昨年比4.1倍と、今年は雷が多かったのが特徴です。

 

参考資料 :全国的なゲリラ雷雨多発日・影響の大きかった事例

日付
発生回数
要因
備考
7月6日
730
下層の暖湿気
前線の通過
東京都で落雷、降雹のリポートあり
7月10日
1,489
前線と前線に向かって流れ込む暖湿気
島根県で道路冠水、山陰本線では運転見合わせ
7月15日
794
前線通過と日中の昇温、下層の暖湿気
東海、近畿で雨雲が組織化。祇園祭の京都市で激しい雨
7月16日
1,133
前線通過と暖湿気、下層収束
東海で雨雲が組織化。磐田市では時間76.5mmを観測
7月22日
813
日中の昇温
気圧の谷の通過や下層収束により雨雲が組織化
関東や近畿、中国地方で雨雲が発生。前橋市では10分14.5mm、大津では時間90mmを観測
7月24日
1,639
下層暖湿気の流れ込み
日中の昇温
全国でゲリラ雷雨が発生。関東南部からは落雷や降雹のリポートあり
7月25日
2,211
日中の昇温と暖湿気の流入上空を気圧の谷が通過
全国でゲリラ雷雨が発生し、東京都内や名古屋市など市街地でも激しい雨になった。山梨から降雹のリポートあり
7月31日
554
下層の暖湿気やシアライン
関東南部で雨雲が組織化。埼玉県や東京都(練馬区や府中市)で記録的短時間大雨情報。東京都心では道路冠水の被害が発生
8月7日
1,495
日中の昇温や下層収束
地形効果による上昇
埼玉県で記録的短時間大雨情報。道路冠水や落雷、停電の被害が発生。会津南部では土砂災害も発生
8月21日
515
上空の寒気やシアライン
暖湿気
東京都港区で記録的短時間大雨情報、解析雨量100mm。道路冠水のリポートあり。地下鉄へも雨水が流れ込んだ
8月22日
636
下層の暖湿気
気圧の谷やシアラインの影響で発達
雨雲の組織化による短時間強雨。代々木公園でも道路冠水が発生
8月24日
2,139
前線に向かって流れ込む暖湿気と気圧の谷
宇都宮市で時間98.5mmの降水。静岡市では停電も発生
8月25日
2,302
強い暖湿気の流れ込みと気圧の谷
東北から九州の各地でゲリラ雷雨が発生し、記録的短時間大雨情報が発表された。京都市では道路冠水が発生
9月10日
1,056
暖湿気の流入と下層収束
シアラインによる影響
西日本を中心に広くゲリラ雷雨が発生。特に大阪市では断続的に雨雲が発生
9月19日
602
日中の昇温と下層収束
シアラインによる影響
東京西部から神奈川中部あたりで降雹あり。相模原市で下水工事の事故が発生

 

注1. 「ゲリラ雷雨」について
本プレスリリースでは、「局地的大雨」を指す言葉として「ゲリラ雷雨」という言葉を使用しています。一般あるいはメディアでよく使用されている「ゲリラ豪雨」と同義です。
注2 「ゲリラ雷雨」発生回数の求め方
「ゲリラ雷雨」をもたらす雨雲・雷雲は“突発的”かつ“局地的”に発達するのが特徴で、予測が難しいとされてきました。また、限られた数しか設置されていないアメダス(全国約1,300か所)では、全ての降雨を正確に観測することは困難です。そこで当社では、スマホアプリ「ウェザーニュース」のユーザーから寄せられた“ザーザー”以上の降雨報告(注3)と、その時の気象データの分析結果から、ユーザーがゲリラ雷雨と感じる雨の時間変化の基準値(表1)を求め、求めた基準値をもとに10km四方でゲリラ雷雨をカウントしています。
表1:「ゲリラ雷雨」判定基準
時間(分前)
閾値
0
11mm/h以上
10
14mm/h以下
20
3mm/h以下
30〜40
1mm/h以下
50〜120
0mm/h以下
注3. 降雨報告について
スマホアプリ「ウェザーニュース」を通し、“ポツポツ”、“パラパラ”、“サー”、“ザーザー”、“ゴォー”の5段階で報告されます。
注4. 雷回数の求め方
気象庁の雷監視システムライデン(LIDEN:LIghtning DEtection Network system)によって検知された雷回数をカウントしています。

 

【2】 2024年「ゲリラ雷雨まとめ調査」結果

9月28日~10月10日にスマホアプリ「ウェザーニュース」を通じて、2024年のゲリラ雷雨を振り返る質問をし、全国16,100人の方々から回答をいただきました。

4人に3人がゲリラ雷雨に遭遇

「この夏、ゲリラ雷雨に遭遇した?(屋内で降られた場合も含む)」と質問したところ、「遭遇した」と回答した方は72.0%と、昨年(75.7%)と同程度で、約4人に3人の方がゲリラ雷雨に遭遇した結果になりました。遭遇率が最も高くなったのは、群馬県で89.1%でした。
ゲリラ雷雨の印象について「この夏、ゲリラ雷雨は多かった?少なかった?」と質問したところ、ほとんどの地域で「少なかった」が多数派となる中、関東など東日本では「多かった」が多数派でした。
今年の発生数は西日本や北日本では昨年より少なかった一方、東日本では昨年並みだったことに加え、市街地での発生が多かったことからゲリラ雷雨の印象に地域差が生じたと考えられます。

 

2人に1人以上がゲリラ雷雨の被害 埼玉・栃木・群馬で落雷による被害が顕著

「ゲリラ雷雨に遭遇した」と回答した方に、「ゲリラ雷雨で起きた被害は?」と質問したところ、半数以上(50.5%)の方が何かしらの被害にあったと回答しました。
具体的な被害の内容を複数回答で伺ったところ、一番多かったのが「交通機関に影響」で29.6%、その次に「道路冠水」が24.0%という結果になりました。
被害が最も多かったのは埼玉県で69.1%、次いで栃木県(67.5%)、茨城県(62.2%)と関東が並びました。この上位3県では「落雷による停電」が約半数にのぼり、特に茨城県では60.8%と落雷による被害が全国で最も多くなりました。

 

ゲリラ雷雨によって命の危機、約8割が「近くに落雷」で感じた

「ゲリラ雷雨に遭遇した」と回答した方に、「ゲリラ雷雨によって命の危機を感じた?」と質問したところ、14.8%が命の危機を「感じた」と回答しました。
どんな危機だったかを具体的に伺ったところ、「近くに落雷」が最も多く78.0%、次いで「道路冠水で立ち往生した」が18.4%となりました。
実際の雷回数を調べてみると、今年の夏、関東では雷回数が昨年の約1.4倍となる503,620回となりました。このため、落雷によって命の危機を感じる人が多かったと考えられます。

 

出費額は昨年比で微増 落雷による家電故障や雹害による修理費など痛い出費も

「ゲリラ雷雨に遭遇した」と回答した方に、「この夏、ゲリラ雷雨による想定外の出費は?」と質問したところ、22.6%の方が何らかの出費があったと回答しました。出費額は全国平均で2,716円となり、昨年の2,650円よりも66円増加しました。
具体的な出費の内容を複数回答で伺ったところ、「傘など雨具の購入」が16.1%と一番多く、次いで「バス・タクシーを利用」「雨宿りでお店に入り出費」が同じ8.0%という結果になりました。
出費の内訳に大きな地域差は見られませんでしたが、「落雷で故障した家電購入」、「乾燥機のフル使用で、電気代がかさんだ」、「雹で破れた網戸の張替えとビニールハウスの修理」など痛い出費となった方も多かったようです。

今シーズンはゲリラ雷雨の発生回数が昨年並か昨年よりも少なくなりましたが、被害を受けた方の想定外の出費額は昨年を上回りました。関東甲信では雷回数が昨年比1.4倍、東京や埼玉では4倍前後と大幅に増え、冠水や落雷、降雹などによる被害も相次ぎました。ウェザーニューズでは、ゲリラ雷雨による被害を少しでも減らすため、本調査結果を今後の対策に活かしていきます。

 

参考情報:都道府県別ゲリラ雷雨発生回数 ※集計期間:7月1日〜9月30日

都道府県
2024年
2023年(回)
過去5年平均(回)
発生回数(回)
10km四方ごとの発生回数(回)
2023年比(倍)
過去5年平均比(倍)
北海道
5,674
6
0.5
0.9
10,665
6,044
青森県
1,180
12
0.6
1.2
1,820
1,009
秋田県
1,816
15
0.8
1.2
2,358
1,578
岩手県
2,430
16
0.8
1.3
3,100
1,837
山形県
1,727
19
0.8
1.3
2,182
1,386
宮城県
1,446
19
0.9
1.4
1,575
1,028
福島県
3,813
28
1.1
1.4
3,575
2,652
茨城県
1,257
21
1.2
1.5
1,044
868
栃木県
2,108
34
1.0
1.4
2,070
1,505
群馬県
2,000
33
1.1
1.5
1,788
1,369
千葉県
1,019
20
1.0
1.2
1,029
858
東京都
1,049
60
1.0
1.0
1,104
1,006
埼玉県
891
25
1.2
1.5
754
605
神奈川県
579
24
1.1
1.4
528
428
山梨県
1,140
27
1.3
1.6
852
714
長野県
3,105
24
1.0
1.3
2,988
2,327
静岡県
2,029
27
1.0
1.3
1,949
1,593
愛知県
1,406
28
1.0
1.1
1,478
1,298
岐阜県
2,659
26
0.9
1.1
2,836
2,494
三重県
1,519
27
0.9
1.1
1,605
1,453
新潟県
2,667
21
1.0
1.2
2,645
2,231
富山県
1,033
25
1.0
1.1
1,020
903
石川県
907
21
1.0
1.1
951
837
福井県
887
21
0.8
1.1
1,062
839
滋賀県
859
23
0.9
1.0
917
824
京都府
1,144
25
1.0
1.1
1,132
1,085
奈良県
1,151
33
0.9
1.1
1,343
1,027
兵庫県
1,651
20
0.9
1.0
1,835
1,638
大阪府
376
20
0.8
0.9
488
430
和歌山県
1,060
23
0.8
1.0
1,288
1,026
鳥取県
943
28
0.8
1.2
1,146
799
島根県
1,417
21
0.7
1.0
2,077
1,397
岡山県
1,412
21
1.0
1.0
1,391
1,360
広島県
1,551
19
0.8
0.9
2,064
1,720
山口県
1,011
16
0.6
0.8
1,750
1,301
香川県
318
16
0.6
0.8
511
400
徳島県
816
20
0.9
1.1
952
741
愛媛県
1,135
20
0.6
0.9
2,025
1,234
高知県
1,796
26
0.8
1.2
2,348
1,472
福岡県
1,361
28
0.6
1.0
2,162
1,348
大分県
1,194
19
0.7
1.0
1,816
1,153
佐賀県
607
26
0.7
1.1
868
559
長崎県
1,110
36
0.6
0.8
2,004
1,458
熊本県
1,839
26
0.7
1.1
2,640
1,642
宮崎県
1,961
27
0.7
1.1
2,884
1,825
鹿児島県
2,927
44
0.8
1.1
3,817
2,723
沖縄県
6,965
258
1.4
1.5
5,154
4,780
全国(合計)
78,945
-
0.8
1.2
93,590
68,804

 

参考情報:都道府県別雷回数 ※集計期間:7月1日〜9月30日

都道府県
2024年(回)
2023年(回)
2023年比
北海道
4,632
56,198
0.1
青森県
3,066
19,320
0.2
秋田県
12,959
54,237
0.2
岩手県
11,297
36,008
0.3
山形県
24,937
27,804
0.9
宮城県
7,255
8,911
0.8
福島県
35,462
53,318
0.7
茨城県
72,554
49,574
1.5
栃木県
99,355
68,680
1.5
群馬県
61,469
49,607
1.2
千葉県
13,946
28,786
0.5
東京都
60,741
15,794
3.9
埼玉県
111,274
27,436
4.1
神奈川県
12,907
14,540
0.9
山梨県
27,661
22,703
1.2
長野県
43,713
87,931
0.5
静岡県
37,134
40,656
0.9
愛知県
12,960
26,440
0.5
岐阜県
50,113
124,238
0.4
三重県
12,017
11,923
1.0
新潟県
19,041
57,637
0.3
富山県
8,894
14,893
0.6
石川県
5,433
9,960
0.6
福井県
8,356
13,873
0.6
滋賀県
11,854
11,482
1.0
京都府
25,336
13,052
1.9
奈良県
13,268
16,686
0.8
兵庫県
37,380
55,354
0.7
大阪府
7,678
9,667
0.8
和歌山県
19,233
21,817
0.9
鳥取県
12,372
8,936
1.4
島根県
6,868
15,498
0.4
岡山県
35,766
21,039
1.7
広島県
17,359
9,688
1.8
山口県
13,767
7,668
1.8
香川県
6,458
5,814
1.1
徳島県
25,267
36,938
0.7
愛媛県
15,184
17,252
0.9
高知県
18,673
13,554
1.4
福岡県
19,927
25,724
0.8
大分県
12,927
22,003
0.6
佐賀県
9,099
7,508
1.2
長崎県
6,713
10,553
0.6
熊本県
31,534
27,291
1.2
宮崎県
34,283
18,034
1.9
鹿児島県
34,064
12,916
2.6
沖縄県
1,685
488
3.5
全国(合計)
1,173,871
1,309,429
0.9

 

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