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ウェザーニューズ、今夏のゲリラ雷雨の発生回数と特徴を発表

【ゲリラ雷雨まとめ2025】2025年のゲリラ雷雨は全国で約8.8万回発生、異例の早さの梅雨明けと猛暑で7月から多発

〜ゲリラ雷雨による想定外の出費が過去最高額に 東京では「浸水被害」が顕著〜

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株式会社ウェザーニューズ(本社:千葉市美浜区、代表取締役社長:石橋 知博)は、2025年夏のゲリラ雷雨(注1)の発生回数と、「ゲリラ雷雨まとめ調査」の結果を発表します。 

✔ポイント
1. ゲリラ雷雨の発生回数は全国で合計88,100回、昨年比・例年比ともに約1.1倍で同程度
2. 発生ピークは8月下旬で、日中の昇温や湿った空気の影響で大気の状態が不安定に
3. 全国の2人に1人がゲリラ雷雨に遭遇、想定外の出費が2,939円で過去最高額
2025年のゲリラ雷雨は全国で約8.8万回
https://weathernews.jp/news/202510/220066/  

【1】今夏のゲリラ雷雨の発生回数と特徴
発生回数:全国で合計88,100回発生

今年の夏(7月1日〜9月30日)の全国のゲリラ雷雨の発生回数は合計88,100回で、昨年(78,945回)と比べると1.1倍となり、やや増加したもののほぼ昨年並の発生数となりました。都道府県別の発生回数を昨年と比べると、東北から近畿、四国は昨年並のところが多く、北海道や中国、九州は昨年よりも多くなっています。
今年は西日本や東日本にかけて勢力の強い高気圧に覆われました。このため、顕著に発生回数が多くなることはありませんでした。ただ、日中の昇温や複数の高気圧の間に入ったエリアでゲリラ雷雨が発生し、概ね昨年並、例年並の発生回数になりました。ゲリラ雷雨の発生回数が最も多くなった都道府県は北海道の10,510回(昨年5,674回)、次いで沖縄県の7,339回(昨年6,965回)となりました。今年の東京都は770回となり、昨年の1,049回からやや少ない発生回数となりました。勢力の強い高気圧に覆われてゲリラ雷雨発生が抑制されたため、ピークとなる8月は昨年比0.6倍と減少しています。

2025年ゲリラ雷雨発生回数
2025年ゲリラ雷雨発生回数(昨年比)

 今年7月1日に発表した「ゲリラ雷雨傾向2025」(※1)では、全国でおよそ78,000回発生する予想としており、概ね予想通りとなりました。月別でみると、予想よりも7月上旬の発生数が増加しました。これは西や東日本の梅雨明けが早く、7月早々にゲリラ雷雨が発生しやすかったためとみています。また、8月中旬は高気圧が弱まるタイミングで発生数が増える予想でしたが、このタイミングで前線の影響を受けたため発生数が予想よりも減少しています。一方、9月は前線の影響を受けるため、広域での雨に変わっていく見込みでしたが、上旬から中旬ほど大気の状態が不安定となり、ゲリラ雷雨が発生しやすくなりました。月別では多少の差があるものの、全体としては概ね予想通りの発生回数となっています。

※1 2025年7月発表 「2025年のゲリラ雷雨は約7.8万回予想 8月中旬がピーク」 /news/52925/ 

 

発生時期:発生ピークは8月下旬

月別に見ると、全国のゲリラ雷雨の発生回数は、7月に25,664回、8月に35,321回、9月には27,115回となりました。
ゲリラ雷雨が一番多かったのは8月下旬、次いで8月上旬と8月中旬、9月中旬となりました。それぞれ昨年の同時期と比べると、8月下旬は0.9倍となったものの、8月上旬や中旬、9月中旬は1.2〜1.3倍程度となります。
エリア別で見ると、北日本は8月上旬にピークとなりました。東日本は7月上旬と9月中旬がピークとなり、西日本は8月下旬と9月中旬が発生のピークでした。

ゲリラ雷雨発生回数 全国

 

ゲリラ雷雨発生回数 北日本
ゲリラ雷雨発生回数 東日本
ゲリラ雷雨発生回数 西日本
ゲリラ雷雨発生回数 南西諸島

発生要因:記録的な猛暑と高気圧縁辺の湿った空気の影響で発生

今年のゲリラ雷雨の発生回数は、全国的に昨年比、例年比ともに1.1倍と概ね同程度となりました。
7月は太平洋高気圧やチベット高気圧に覆われて、西日本や東日本を中心に晴天かつ気温の高い日が多くなりました。7月上旬の発生回数が昨年よりも増加した要因は、例年7月中旬に梅雨明けとなる西日本や東日本で、今年は6月中に各地で梅雨明けとなったことや、高気圧に覆われて気温が上昇し、太平洋側を中心に大気の状態が不安定になったことが考えられます。7月下旬にかけては、2つの高気圧が勢力を強めたため、全国的なゲリラ雷雨発生回数が昨年よりも減少しました。
8月は高気圧が複数存在し、その高気圧の間に入ったエリアで大気の状態が不安定となりました。加えて、日中の昇温や西日本や東日本に接近した台風による暖かく湿った空気の影響も受けて、8月下旬ほどゲリラ雷雨の発生しやすい状況になりました。ただ、関東地方は8月中旬から下旬にかけて勢力の強い高気圧に覆われ続けたため、雲の発達が抑えられ、ゲリラ雷雨の発生は比較的抑制されたとみています。
9月も高気圧の影響が残り、日中は厳しい残暑が続きましたが、次第に高気圧と低気圧が交互に通過する気圧配置に変化しました。9月中旬に西日本や東日本では、気温の上昇や暖かく湿った空気の流入のタイミングでゲリラ雷雨が多く発生しました。特に関東地方では都心部で大雨となった日があり、記録的短時間大雨情報が発表され、新幹線や航空機などの交通機関にも影響が生じました。茨城県では突風による被害も報告されています。

7月の気圧配置
8月の気圧配置
9月の気圧配置

参考資料 :全国的なゲリラ雷雨多発日・影響の大きかった事例

7月1日

856

上空寒気により不安定、地表の気温上昇や収束に伴い雨雲が発生

記録的短時間大雨情報(群馬県、茨城県、埼玉県)、ヒョウ(群馬県桐生市)、停電(茨城県)つくばエクスプレスが運転見合わせ

7月2日

1,210

上空寒気により不安定

記録的短時間大雨情報(北関東から東北南部、近畿地方)

7月4日

1,234

上層トラフ接近、中層の湿潤域の南下

記録的短時間大雨情報(群馬県)、道路冠水(長野県、東京都武蔵村山市)

7月10日

1,362

前線南下、日中昇温

記録的短時間大雨情報(東京都、神奈川県、埼玉県、群馬県、山形県、長野県)

7月22日

692

上空寒気により不安定、地上気温上昇

記録的短時間大雨情報(群馬県)、ヒョウ(埼玉県、長野県)

7月24日

875

上空寒気により不安定、地上気温上昇、地形性上昇

記録的短時間大雨情報(群馬県)、ヒョウ(岐阜県)

8月8日

1,812

寒気トラフの影響で不安定

記録的短時間大雨情報(秋田県)、道路冠水(東京都、栃木県、大阪府)、竜巻(石川県)、甲子園第三試合4回で中断

8月16日

1,220

地上気温上昇、下層シア

記録的短時間大雨情報(埼玉県、静岡県)

8月18日

860

前線帯や中層の水蒸気、風の収束

記録的短時間大雨情報(東京都)、ヒョウ(東京都)

8月20日

2,050

上空の寒気や下層の昇温で不安定、九州は熱帯擾乱や高気圧縁辺で暖湿気流入

ヒョウ(東京都多摩市)、冠水(福岡県)

8月25日

1,642

中下層の暖湿気や昇温

記録的短時間大雨情報(京都府、兵庫県)

8月27日

2,477

前線南下に伴う熱界雷

竜巻(新潟県)、ヒョウ(埼玉県)

9月2日

1,319

暖湿気の流入や地上気温上昇

記録的短時間大雨情報(兵庫県)、道路冠水(鳥取県)

9月3日

1,505

北海道:寒気トラフ・シア、本州:前線南下で熱界雷

記録的短時間大雨情報(栃木県)、竜巻(北海道宗谷地方)、ヒョウ(栃木県)、冠水多数

9月11日

1,957

水蒸気、地上気温上昇

記録的短時間大雨情報・ヒョウ(東京都、神奈川県) 冠水(東京都、石川県)、ガストフロント(羽田空港)、東海道新幹線見合わせ

注1. 「ゲリラ雷雨」について:本プレスリリースでは、「局地的大雨」を指す言葉として「ゲリラ雷雨」という言葉を使用しています。一般あるいはメディアでよく使用されている「ゲリラ豪雨」と同義です。
注2. 「ゲリラ雷雨」発生回数の求め方:「ゲリラ雷雨」をもたらす雨雲・雷雲は“突発的”かつ“局地的”に発達するのが特徴で、予測が難しいとされてきました。また、限られた数しか設置されていないアメダス(全国約1,300か所)では、全ての降雨を正確に観測することは困難です。そこで当社では、スマホアプリ「ウェザーニュース」のユーザーから寄せられた“ザーザー”以上の降雨報告(注3)と、その時の気象データの分析結果から、ユーザーがゲリラ雷雨と感じる雨の時間変化の基準値(表1)を求め、求めた基準値をもとにゲリラ雷雨をカウントしています。
ゲリラ雷雨判定基準

時間(分前)

閾値

0

11mm/h以上

10

14mm/h以下

20

3mm/h以下

30〜40

1mm/h以下

50〜120

0mm/h以下

表1:「ゲリラ雷雨」判定基準

注3. 降雨報告について:スマホアプリ「ウェザーニュース」を通し、“ポツポツ”、“パラパラ”、“サー”、“ザーザー”、“ゴォー”の5段階で報告されます。
注4. 雷回数の求め方:気象庁の雷監視システムライデン(LIDEN:LIghtning DEtection Network system)によって検知された雷回数をカウントしています。

 

【2】2025年「ゲリラ雷雨まとめ調査」結果

10月1日~10月14日にスマホアプリ「ウェザーニュース」を通じて、2025年のゲリラ雷雨を振り返る質問をし、全国65,304人の方々から回答をいただきました。

2人に1人がゲリラ雷雨に遭遇

「この夏、ゲリラ雷雨に遭遇した?(屋内で降られた場合も含む)」と質問したところ、「遭遇した」と回答した方は57.6%と、昨年(72.0%)よりも減少し、約半数の方がゲリラ雷雨に遭遇した結果になりました。遭遇率が最も高くなったのは、福岡県で76.3%でした。
ゲリラ雷雨の印象について「この夏、ゲリラ雷雨は多かった?少なかった?」と質問したところ、ほとんどの地域で「少なかった」が多数派となる中、九州や北陸では「多かった」が多数派でした。多かった印象1位は長崎県で53.2%、2位は鹿児島県で49.9%など九州が上位となっています。
今年の発生数は東日本で昨年より減少した一方、西日本や北海道で昨年より増加し、特に九州で発生数が昨年比で1.48倍となったためゲリラ雷雨の印象に地域差が生じたと考えられます。

ゲリラ雷雨に遭遇した割合
ゲリラ雷雨は多かった?少なかった?

2人に1人がゲリラ雷雨の被害 今年は道路冠水が増加

「ゲリラ雷雨に遭遇した」と回答した方に、「ゲリラ雷雨で起きた被害は?」と質問したところ、半数以上(51.2%)の方が何かしらの被害にあったと回答しました。
具体的な被害の内容を複数回答で伺ったところ、一番多かったのが「交通機関に影響」と「道路冠水」で26.9%、その次に「落雷による停電」が13.9%という結果になりました。例年の調査では、「交通機関に影響」が圧倒的に多い結果となっていますが、今年は「道路冠水」が2018年以来で最も多く、「交通機関に影響」と同率となっています。

ゲリラ雷雨で起きた被害は?

ゲリラ雷雨によって命の危機、約7割が「近くに落雷」で感じた

「ゲリラ雷雨に遭遇した」と回答した方に、「ゲリラ雷雨によって命の危機を感じた?」と質問したところ、16.5%が命の危機を「感じた」と回答しました。
どんな危機だったかを具体的に伺ったところ、「近くに落雷」が最も多く70.1%、次いで「道路冠水で立ち往生した」が24.7%となりました。実際の雷回数を調べてみると、今年の夏、北海道では雷回数が昨年の約3.47倍となる16,397回、九州では1.30倍となる194,514回となりました。このため、落雷によって命の危機を感じる人が多かったと考えられます。

ゲリラ雷雨で命の危機を感じたのは?

出費額は過去最高 東京都では浸水被害による家屋の修復や車の修理も

ゲリラ雷雨による想定外の出費は?
想定外の出費の内容は?

「ゲリラ雷雨に遭遇した」と回答した方に、「この夏、ゲリラ雷雨による想定外の出費は?」と質問したところ、23.1%の方が何らかの出費があったと回答しました。出費額は全国平均で2,939円となり、昨年の2,716円から223円増加し、2018年以降の8年間で最も高額になりました。具体的な出費の内容を複数回答で伺ったところ、「傘など雨具の購入」が65.6%と一番多く、出費の内訳に大きな地域差は見られませんでした。
金額が大きくなりがちな「家屋の修復」「車の修理」と回答した方に、修復や修理が必要となった原因について複数回答で伺ったところ、「浸水被害」が42.9%と最も多く、次いで「突風被害」が25.3%という結果になりました。また50人以上の回答があった地域に絞ると、東京都では「浸水被害」が55.4%と最も多く、埼玉県では「ヒョウ被害」「突風被害」が36.2%となりました。

家屋や車の修理が必要になった原因は?
 
 
 
2025年8月18日埼玉県鴻巣市
降雹リポート
2025年9月11日東京都大田区
冠水リポート

 

今シーズンはゲリラ雷雨の発生回数は概ね昨年並になりましたが、被害を受けた方の想定外の出費額は昨年を上回りました。全国的には突発的な雨により傘など雨具の購入した方が多く、ヒョウや突風などシビアな現象に加えて、浸水などの被害が相次ぎました。ウェザーニューズでは、ゲリラ雷雨による被害を少しでも減らすため、本調査結果を今後の対策に活かしてまいります。

 参考情報:都道府県別ゲリラ雷雨発生回数 ※集計期間:7月1日〜9月30日

都道府県

2025年

2024年

(回)

過去5年平均

(回)

発生回数

(回)

10km四方ごとの

発生回数(回)

2024年比(倍)

過去5年平均比(倍)

北海道

10,510

11

1.9

1.59

5,674

6,629

青森県

1,621

16

1.4

1.40

1,180

1,157

秋田県

1,762

15

1.0

0.95

1,816

1,847

岩手県

1,830

11

0.8

0.82

2,430

2,221

山形県

1,485

16

0.9

0.95

1,727

1,567

宮城県

1,016

14

0.7

0.86

1,446

1,180

福島県

2,937

21

0.8

0.98

3,813

3,004

茨城県

1,001

17

0.8

1.02

1,257

977

栃木県

1,734

27

0.8

1.06

2,108

1,635

群馬県

1,662

27

0.8

1.09

2,000

1,526

千葉県

802

16

0.8

0.84

1,019

957

東京都

770

44

0.7

0.69

1,049

1,109

埼玉県

777

21

0.9

1.17

891

664

神奈川県

292

11

0.5

0.60

579

487

山梨県

1,044

25

0.9

1.25

1,140

835

長野県

3,173

24

1.0

1.12

3,105

2,825

静岡県

1,207

16

0.6

0.66

2,029

1,836

愛知県

912

18

0.6

0.65

1,406

1,402

岐阜県

2,632

26

1.0

0.97

2,659

2,722

三重県

1,407

25

0.9

0.91

1,519

1,539

新潟県

2,414

18

0.9

0.98

2,667

2,462

富山県

946

22

0.9

0.95

1,033

994

石川県

967

23

1.1

1.03

907

935

福井県

1,100

25

1.2

1.20

887

918

滋賀県

987

26

1.1

1.14

859

864

京都府

1,554

34

1.4

1.37

1,144

1,138

奈良県

1,324

38

1.2

1.18

1,151

1,124

兵庫県

2,123

26

1.3

1.23

1,651

1,724

大阪府

401

21

1.1

0.90

376

445

和歌山県

1,031

22

1.0

0.88

1,060

1,165

鳥取県

1,052

30

1.1

1.14

943

924

島根県

1,815

27

1.3

1.21

1,417

1,502

岡山県

1,883

27

1.3

1.34

1,412

1,407

広島県

2,110

25

1.4

1.20

1,551

1,759

山口県

1,619

26

1.6

1.18

1,011

1,367

香川県

386

18

1.2

0.99

318

390

徳島県

986

24

1.2

1.19

816

829

愛媛県

1,161

20

1.0

0.87

1,135

1,330

高知県

2,058

30

1.1

1.18

1,796

1,739

福岡県

2,155

43

1.6

1.39

1,361

1,548

大分県

1,873

30

1.6

1.46

1,194

1,282

佐賀県

1,024

43

1.7

1.54

607

667

長崎県

2,468

79

2.2

1.55

1,110

1,590

熊本県

2,451

34

1.3

1.29

1,839

1,902

宮崎県

2,821

39

1.4

1.36

1,961

2,069

鹿児島県

3,478

51

1.2

1.15

2,927

3,034

沖縄県

7,339

271

1.1

1.25

6,965

5,894

全国(合計)

88,100

-

1.1

1.14

78,945

77,121

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