2025.07.10

社員の8割がAIハッカソンに参加、生成AIを活用した新価値創造が加速

ウェザーニューズでは、AIの活用を推進するプロジェクトとして全社員を対象に「生成AIハッカソン」の開催を2025年3月より開始しました。このハッカソンには全社員の8割にあたる約900名が参加し、一人ひとりが生成AIを日々の業務に取り入れることで、当社の運営業務の時間削減など、着実な成果が現れています。

なぜ生成AIハッカソンを始めたのか、そしてどのようなアイデアが実用化されたのか。今回は、プロジェクトを牽引してきたテクノロジー・プロダクト責任者の出羽秀章氏と、AIを活用したサービス開発に携わる森下貴康氏に話を聞きました。

非エンジニアが主役の生成AIハッカソン、社員一人ひとりのAI活用が会社の成長につながる

出羽:これまでエンジニアを中心にプログラミングなどでのAI活用が進んでいましたが、非エンジニアの社員はあまりAIに触れておらず、全社的な活用には至っていない状況でした。しかし、ここ数年でAIが急速に進歩し、世の中に浸透し始めたことにより、一部のチームではAIを使って運営業務の課題を解決しようという動きが出てきたのです。その後間も無くして、これまで人の手で行っていた業務をAIによって自動化できるようになり、一定の成果も現れ始めました。この成功をきっかけに、私たちは全社的にAIの活用を推進することに大きなメリットがあり会社の成長につながると確信しました。

そこで、まずは全員が生成AIに触れる機会を作ろうと、全社で生成AIハッカソンのイベントを始めることになったんです。 生成AIハッカソンではエンジニアではないスタッフ同士がグループを組み、業務改善ツールを作成していきます。AI開発の経験豊富なエンジニアがサポート役として参加しますが、オペレーターや営業、総務などのスタッフが実際に手を動かします。

執行役員 テクノロジー・プロダクト責任者の出羽秀章氏
執行役員 テクノロジー・プロダクト責任者の出羽秀章氏

生成AIを用いた業務改善のアイデアが180個も!

出羽:1回のハッカソンで20個前後のアイデアが生まれ、回数を重ねるごとにAI活用の輪が全社に広がりました。最終的にはグローバルの拠点での開催も含めて、180を超える業務改善のアイデアが生まれました。

森下:僕はAIを活用したサービス開発の経験者として、社員のみなさんをサポートする立場でハッカソンに参加したのですが、原稿作成の自動化や提案書の作成などテキストを活用する業務に関するアイデアが多かった印象です。事後のアンケートでは「実際に日々の業務で活用できそう」という回答が4割ほどあり、広告レポートの自動作成や船舶情報の自動入力など、このイベントから具体的な運用につながっているアイデアもありました。

モバイルインターネット事業部 開発担当の森下貴康氏
モバイルインターネット事業部 開発担当の森下貴康氏

出羽:生成AIハッカソンをやってみて、みんなが積極的にAIを使ってくれるようになったことが一番の収穫だと思います。海外のスタッフも含めて、本ハッカソンをきっかけに初めて触れた人が多く、社内全体で「まずはやってみよう、作ってみよう」という意識が明らかに高まりました。エンジニアだけでなくバックオフィスや営業のスタッフも、AIを使えばここまでできるという可能性を感じているようです。 また、普段エンジニアと接する機会が少ない社員からは「エンジニアとコミュニケーションをとるきっかけにもなりよかった」という声もありました。AI活用の直接的な効果だけでなく、社内のコミュニケーションを円滑にする役割も果たしていると感じました。

ハッカソン開催中の様子
ハッカソン開催中の様子

より高度なAIハッカソンをグローバルの仲間と共に継続開催

出羽:現在、コペンハーゲンやオクラホマなどグローバルの拠点でもAI活用の輪を広げています。これだけ全社で大きなAI活用のイベントを開き、社員の8割が参加したという事例は、他社にはなかなかないことだと思います。 今回は生成AIを活用したハッカソンでしたが、今後は生成AI以外のテーマにもぜひ挑戦したいと考えています。例えば、AIが自律的にタスクを実行するような、より高度なAIをテーマにしたハッカソンにも取り組んでいきたいです。

森下:今後も継続的なイベント開催で社員のAIに対する感度を高め、新たな価値創造につながるプロジェクトにしていきたいです。

AI時代は追い風、AIを使い倒して新たな成長フェーズへ

出羽:私たちは、日々の業務にAIを積極的に取り入れるだけでなく、お客様の業務を自律的にサポートするAIサービスの開発も計画しています。当社は40年にわたりお客様の課題解決に貢献してきました。運営スタッフがお客様の業務を深く理解し、長年のノウハウを蓄積しているからこそ、AIを活用してもニーズに合ったサービスを提供できると考えています。 エンジニアだけでなく、運営スタッフがAIハッカソンに参加する意義がそこにあると思います。

森下:私たちエンジニアは、膨大な気象データをAIが活用しやすい形に整備するなど、AIをスムーズに利用できる環境を構築することで、運営スタッフが積極的にAI活用に取り組めるようにしたいです。

出羽:AIと気象は非常に親和性が高く、ウェザーニューズにとってAI技術の発展は追い風になると考えています。常に新しいツールや技術を積極的にキャッチアップし、最新のテクノロジーを取り入れていきたいです。