2026.04.19
2025年 台風進路予測で精度No.1を達成、AIを活用した予測技術の裏側

2026年に入ってから毎月台風が発生しています。4月までに毎月台風が生まれるのは、2015年以来10年ぶりのことです。
近年の気象業界では、AI技術を応用した予測技術が目覚ましいスピードで進化しています。ウェザーニューズでも、昨シーズンから台風予測にAIを活用した運用を開始しており、2025年の振り返りでは、気象庁(RSMC:地域特別気象中枢)や米軍(JTWC:合同台風警報センター)の予測を上回る結果がでています。
本ブログでは、2026年の本格的なシーズンを前に、2025年の台風の振り返りと、それを支えた「AI×人」の予測技術について解説します。
2025年の台風はアジアで被害多数、猛烈な勢力や進路の迷走、竜巻の発生など
日本の気象庁の発表によれば、2025年の台風発生数は計27個にのぼり、これは過去6年間で最も多い数字となりました。数が多いだけでなく、進路の迷走や急発達といった予測の難易度が高いケースが目立ち、各地で深刻な被害も発生しています。 特に、9月や10月に発生した台風では、これまでの常識が通用しないような雨風の強まりを見せた地点もあり、私たちが公開している過去の振り返り記事でもその脅威を詳しくお伝えしてきました。
台風18号(ラガサ)は、2025年9月18日(木)にフィリピンの東で発生。フィリピンの東で発生後、わずかな時間で「猛烈な」勢力(スーパー台風クラス)まで達し、勢力を維持したままフィリピンと台湾の間を通過して南シナ海を西進しました。台湾の花蓮県では洪水が発生し、14人が死亡し、152名が行方不明(2025年9月24日時点)という大きな被害が発生しました。

その他、台風15号は、日本上陸後に東日本を時速約60kmという高速で駆け抜けました。進路そのものは比較的安定していましたが、台風周辺の湿った空気がもたらした「線状降水帯」や、牧之原市での「JEF3クラスの竜巻」など、予測の難しい局地的な激甚気象を引き起こしました。牧之原市では竜巻の影響で74人が重軽傷を負ったほか、住宅被害は1000棟を超えていると報告されています。

3者比較で最高精度を記録したウェザーニューズの台風進路予測
私たちの予測がどれだけ人々の役に立てたのか。その一つの指標となるのが「予測精度」です。 2025年の台風進路予測において、ウェザーニューズ、気象庁、そして米軍の3者の予測を比較したところ、ウェザーニューズが最も高い精度を達成したことが明らかになりました。

・2025年に発生した全台風を対象に、気象庁、JTWC、ウェザーニューズの3機関の進路誤差を独自に比較。
・台風が発生してから消滅するまでの台風の中心位置(予報円の中心)の24、48、72、96、120時間予報(3、9、15、21時発表)について、実際の中心位置との距離(誤差)を求め、1年分を平均して年平均誤差を算出します。(参考:[気象庁のHPより](https://www.data.jma.go.jp/typhoon/verification/index.html))
・実況中心位置は、RMSCのデータをもとに定義しています。
このグラフでは、横軸に予測の対象時間(何時間先の予測か)、縦軸に台風の中心位置の実況と予測のズレ(誤差)を示しています。つまり、線が下にあるほど「予測が的中している」ということです。 私たちの予測値は他機関と比較しても一貫して低い値、つまり「ズレが小さい」状態を維持し続けました。
なお、2026年4月10日に発生した台風4号(シンラコウ)の予測精度評価を実施したところ、以下のように他機関と比べて精度が高かったことがわかりました。

AIと予報士のノウハウを掛け合わせ、高精度な台風予測を作成
ウェザーニューズがこの高精度な台風進路予測を作成できる理由は、台風専門のチームの存在が大きいです。台風専門チームは、台風の発生を監視、予測を行う他、台風が終息した後も振り返りを行うなど台風に関する予測技術のノウハウを蓄積することで、PDCAを回し続けています。 ウェザーニューズでは、2025年から「AI予測モデル」を活用した台風進路予測を行っており、「AI予測モデル」の特性が見え始めました。
特に進路予測については、膨大な過去の台風データを学習したAIは、複雑な進路のパターンを瞬時に導き出し、予測の精度を底上げしてくれています。 一方で、台風に伴う降水量の予測に関しては、「AI予測モデル」よりも「物理予測モデル」の方が精度が高いということがわかりました1。
ウェザーニューズでは引き続き、最新のAI予測モデルも活用しながら、気象学的なメカニズムや、長年の経験を持つ予報士の知見を掛け合わせることで、台風に伴う降水量の予測精度向上にも注力していきます。


