2026.04.23

気象業務法の改正で何が変わる?予報業務に関する規制の強化を分かりやすく解説

2026年5月末より、改正気象業務法が施行されます。

今回の改正では、洪水等に係る情報提供体制の強化、高潮の共同予報・警報の創設、無許可事業者に対する規制の強化と大きく3つの観点で法改正が行われます。

本ブログでは、ニュースではあまり詳しく触れられていない「無許可事業者によるデータ配信」の実態と、それを利用することによるビジネスリスクについて詳しく解説します。




なぜ今、法改正が必要なのか?無許可事業者の天気予報が招く社会混乱のリスク

インターネット技術の進展により、現在では誰もが世界中の気象情報にアクセスし、また、利用できる社会になりました。

しかし、ユーザーの選択肢が増える一方で、日本国内において「誤った警報情報」1が配信されたり、根拠の乏しい予報が拡散されるという事態が発生しており、不適切な情報発信による社会的混乱が懸念されています。

これを受け、気象庁は情報の信頼性を担保するため、業務法の改正に踏み切りました。




無許可事業者は「実名公表」へ。改正法で強化される監視の目

日本では、天気予報業務を行う場合、気象庁長官の「許可」を受けることが法律(気象業務法第17条)で義務付けられています。

誤った予報が社会に流れることは、人命や経済活動に直結する大きな混乱を招く恐れがあります。そのため、気象予報は本来「原則禁止」されており、技術的能力や設備など一定の厳格な基準を満たした事業者に対してのみ、その禁止を解除する「許可」という仕組みが取られているのです。

今回の改正では、ルールを守らない「無許可事業者」への対策が強化されました。主なポイントは以下の3点です。

「名前の公表」で注意喚起: 無許可で予報を行っている事業者の名前を国が公表できるようになりました。これにより、利用者が「この事業者は信頼できるのか」を判断しやすくなります。

海外事業者への規制を強化: 海外の事業者に対しても、日本国内での連絡窓口(代表者や代理人)を置くことが義務付けられました。これにより、海外の事業者であっても、日本の法律に基づいて適切に指導・連絡ができるようになります。

「連絡がつかない」事業者は即座に許可取消: 窓口となる担当者と連絡が取れないなど、所在が不明な事業者は、簡易な手続きで許可の取り消しが可能になりました。




無許可事業者のデータ利用による3つのリスク

手軽で安価に導入できる海外系の気象APIの中には、日本の許可を受けていない事業者が提供しているものが多数存在します。 これらを業務利用した場合、以下のリスクが考えられます。

A、コンプライアンスレピュテーションリスク: 無許可の予報データを商用利用・拡散しているとして、企業責任が問われる可能性があります。

B、防災対応の遅れ: 気象庁が発表する公式な「警報・注意報」と連動しておらず、的確な安全対策が取れないリスクがあります。また近年では警報情報の誤報が発表された事例もあります。

C、日本の地形に合わない予測精度の低さ: グローバルモデルのデータは日本の複雑な地形に最適化されておらず、実際の天気と大きく違う予報が発表されたりします。




ビジネスの意思決定を支える、高解像度かつ高精度な気象データ提供サービス

無許可業者のデータ利用によるリスクを避けるために「許可事業者」を選ぶことは非常に重要です。

現在、国内で予報業務が許可されている法人は87者(2026年3月27日時点)存在しますが、実はすべての事業者が「日本全国」の予報を許可されているわけではありません。 予報を行う地点ごとに申請が必要であり、全国をカバーするには、それに見合う高度な技術力と運用体制が厳しく審査されるためです。

ウェザーニューズは「日本全国」を対象とした予報業務許可を取得しています。また、気象庁の警報基準が変更される際などは、事前に試験データを用いた厳格なテストを実施し、お客様のシステムに影響が出ないよう徹底した管理を行っています。

私たちは、高解像度かつ高精度な気象データを通して、あらゆるビジネスの意思決定をサポートしています。

例えば、国内最大級のデリバリーサービスの出前館では、気象情報を活用してデリバリー商品の配達時間を予測したり2、東急グループのエネルギー事業者株式会社東急パワーサプライでは、電力需要予測に気象データを活用しています3

インターネット技術の発展に加え、AIの利用が身近になった現代では、だれしもが手軽に情報を得ることができる社会になりました。しかしそれと同時に、AI が精度の担保されていない無許可事業者の情報を参照し、利用者が気づかないまま誤った天気予報や防災情報を信じてしまうリスクが伴うため、ユーザー自身のリテラシー向上も重要となっています。

ウェザーニューズでは引き続き、多くのビジネスシーンで安心してご利用いただけるよう、精度の向上と法令に則った適切な情報提供に努めてまいります。



改正気象業務法への対応はお済みでしょうか?データ移行のサポートはこちらから行っています。




Footnotes

  1. 1:iPhoneの天気アプリ、文京区で「大雪」とウソつく 気象庁のサイトで“正しい情報”を確認する方法は? ↩︎
  2. 2:出前館 ↩︎
  3. 3:株式会社東急パワーサプライ ↩︎