重点取り組みテーマTheme

Theme03技術革新&パートナーシップ

誰もが気象情報にアクセスできる社会へ

Message

誰もが必要なときに有益な気象情報を入手できる世界を目指して、
経済、社会、環境を支える気象技術の革新と利便性を追求します。

title

予測精度向上と観測範囲の拡大に努め、より多くの地域・人々の生活を支える

ウェザーニューズはあらゆる地域の気象データの取得、独自の人工衛星や気象観測レーダーの開発といった先進技術により、予測精度の向上や観測網の拡大を図っています。また、こうしたデータを自社だけにとどめず、必要とする国・地域・団体へ提供し、気象情報の有用性・将来性をより多くの国や人々に理解してもらい、人命・社会・地球を守る活動を続けたいと考えています。

国際パートナーシップによる気象技術の向上

ウェザーニューズは気象・気候予測のノウハウを、特に気象災害に対してのインフラがまだ脆弱な新興国に移転し、天候を味方につけた経済発展への貢献を目指しています。特にアジア新興国では、ベトナム、フィリピン、ラオス、ミャンマー、ネパールの5カ国で海外気象庁とのMOUを締結。各国から共有してもらった気象観測データから自然災害の分析を行うことで、自然災害リスクの軽減を目指しています。

title

世界的な気候変動と自然災害に対応するためには、気象のビッグデータや新しい解析技術を活用した戦略的マネジメントと、そのための観測インフラの設置が必須です。私たちが開発を進めている独自の小型気象レーダー「EAGLEレーダー」は、突発的かつ局地的に発生するゲリラ雷雨や突風の予測に有効です。上空を高速回転して雨雲の3次元分布と移動を観測することで積乱雲の発達状況をほぼリアルタイムで捉えることができるためです。私たちは、本レーダーを日本のみならず、アジア新興国へ設置すべく準備を進めています。

また、インフラを整備するだけにとどまらず、G20やAPECといった国際会議にも積極的に参加し、災害時の官民連携や気象リスクマネジメントについて講演を行っています。今後も気象情報の有用性・可能性を提案することで国際パートナーシップを推進し、新興国の気象情報活用を促進してまいります。

WNISAT-1R

ウェザーニューズの超小型独自衛星「WNISAT-1R」は、北極海の海氷観測を目的に打ち上げた「WNISAT-1」に続く、当社2機目の衛星です。搭載された計6台の光学カメラを用いて、北極海の氷の分布や海水面の判別を行い、北極海航路を利用する船舶の安全運航を支援しています。

title

超小型衛星を利用した北極海の海氷観測ミッションは、世界的に見ても前例のない取り組みです。より多くの知見を結集するため、東京大学と協力してこのミッションに取り組んでいます。 取得されたデータは各協力機関に提供し、超小型衛星を活用した海氷観測技術の向上や、撮像データの解析技術向上に役立てられます。

また、「WNISAT-1R」は北極海の海氷のみならず、台風や火山噴煙の観測も行い、船舶や人々の生活を守ります。移動しながら撮影するステレオ撮影によって、拡散状況の撮影だけでなく、雲頂高度や噴煙の到達高度を割り出す立体観測に挑戦しています。

AI防災チャットボット

激甚化する災害状況を踏まえ、国家プロジェクト「戦略的イノベーション創造プログラム(SIP)」に参画し、LINE株式会社等の民間企業と研究機関、自治体が連携して設立するAI防災協議会協力のもと、対話型災害情報流通基盤システム「AI防災チャットボット『SOCDA*』」の開発を進めています。

title

自然災害発生時において、情報が適切・適時に住民に届かなければ、行政と住民との間で情報格差が起こり、2次災害などにつながる危険があります。また、災害混乱時に行政が実際の被害状況を集約するにあたっては、情報の信ぴょう性や職員の人手確保など様々な問題が生じます。

AI防災チャットボットはLINEなどの使い慣れたツールからAIが自律的に被災者とコミュニケーションを取り、対話の中から安否確認や不足物資などの災害関連情報を自動で抽出・集約し、地域住民や現場職員など各利用者に応じて、避難勧告・避難所案内や警報、河川水位など、本当に必要な情報を配信します。さらに、各利用者から投稿された災害事象・不足物資の情報はAIが分析、カテゴライズを行い、整理した上で地図上に集約することで、住民と行政の効率的な情報共有を可能にします。

現在、一部の自治体へサービスを提供しており、将来的には、府省庁や自治体の既存システムと連動して膨大な災害関連情報を統合し、政府の意思決定を支援する国の防災の基盤となることを目指して研究開発を進めております。

また、AI防災チャットボットの活用は日本のみならず、海外にも広がりつつあります。ユネスコが立ち上げた日本資金によるプロジェクト「東アフリカにおける防災アプローチの強化(Strengthening Disaster Prevention Approaches in Eastern Africa)」に参加し、自然災害発生時の情報伝達に対して脆弱性のある東アフリカの防災に貢献します。

大規模災害に対し、国や市町村の意志決定の支援を継続していくことで、国民一人ひとりの確実な避難、広域経済活動の早期復旧を目指し、次世代の人々が安心して暮らせる社会の実現を目指します。

* SOCDA:「対話型災害情報流通基盤」
通称 SOCDA = SOCial-dynamics observation and victims support Dialogue Agent platform for disaster management
国民一人ひとりの避難と災害対応機関の意思決定を支援するチャットボット。NIED、NICT、ウェザーニューズが、LINEの協力を得て、研究開発を実施している。内閣府総合科学技術・イノベーション会議が主導する戦略的イノベーション創造プログラム(SIP)第2期「国家レジリエンス(防災・減災)の強化」のテーマⅠ「避難・緊急活動支援統合システムの研究開発」(研究責任者:NIED 臼田裕一郎)のサブテーマ2「対話型災害情報流通基盤の研究開発」に位置づくもの。

私たちは日本で実現しているような、あらゆる媒体から気象情報が取得できる状況を、海外でも実現することを目指しています。だからこそ、レーダーや衛星などの気象予測を高める技術と、観測場所を増やすためのパートナーシップが欠かせません。私たちはこの両輪を回すための基盤づくりにも取り組んでいます。今後も、気象リスクと向きあうグローバル企業として、アジアにおける被害の軽減や、天候を味方につけた経済発展に貢献できるよう取り組んでまいります。