2026.04.16
【世界34万地点】ウェザーニューズが挑むグローバルデータの収集

ウェザーニューズでは、高精度な天気予報を世界中の人々へ届けるため、世界中のあらゆる気象データを集約するプロジェクトを2023年に立ち上げました。
プロジェクトを立ち上げ間も無く約3年が経とうとしていますが、現在、ウェザーニューズで取得可能なデータは世界34万地点。
私たちはこの膨大なデータをどのように集め、日々の予報に利用しているのか。
本記事では、ウェザーニューズが挑むデータ収集の裏側と、世界一のデータベース構築に向け取り組んだ3年間の軌跡に迫ります。
世界34万地点の気象観測データが取得可能に、ウェザーニューズが世界中のデータを集める理由とは
私たちが世界中の観測データを収集しようとプロジェクトを立ち上げた背景には、一つの強い決意があります。
それは、「テレビやネットで災害を知る側ではなく、自ら異変をいち早く捉え、常に最新の状況を把握できる会社でありたい」 という、気象会社としてのプライドです。
特に近年、アジア圏を襲う台風被害は目を背けられない状況にあります。 失われる命や甚大な経済損失を前に、私たちは気象会社としての使命感も感じていました。
そこで私たちは、日本で培った予測技術や災害時の情報伝達の知見を、世界中の人々の安全へと役立てるため、世界中の気象データ収集を行うプロジェクトを2023年に立ち上げました。
3年がかりのチャレンジ、データベース構築までの道のりと苦悩

プロジェクトチームでは、ウェザーニューズとして取れる限りのデータは全て取ろう!と、3年間の計画をたて、以下のデータを集めました。
・国際的な機関が運用する天気予報モデル ・世界各国が発表する警報情報 ・公的機関や民間が設置している気象観測機器で収集した雨、風、気温、湿度などのデータ ・公的機関が設置する気象レーダーで観測した雨量強度や風のデータ などあらゆる気象関連のデータを管理しています。
こうしたデータは、有料で販売されている場合もあれば、無料で配布されている場合もあります。警報データは比較的情報の収集がスムーズで、現在人口カバー率98% まで到達しています。(詳細はこちら)
また、有料で販売されているデータも取得がスムーズでした。
各機関と契約書を取り交わし料金も発生しているので、サポートも手厚く、順調にデータ収集が進みました。
想像以上に大変だったのは、無料で公開されているデータです。
そもそもこのデータは「10分雨量」を示しているのか「1時間の積算雨量」を示しているのか、データ内容に関する説明がない場合があったのです。 電話で問い合わせても一向に繋がらなかったり、メールで何度問い合わせても回答がなかったり。
担当者と連絡が取れずデータ取得に関するサポートが受けられなかったため、最終的には、自分たちの目でデータを確認して、データの内容を1つ1つ整理するのが根気のいる作業でした。
アジア各国とのMoUで雨雲の面データを取得
他にも、データは公開されているものの、データの取得に時間がかかるものもありました。
例えば、気象レーダーのデータです。
各機関のウェブサイトに画像データとして地図に雨雲の様子を載せた様子が公開されていますが、私たちが必要としているのは、それよりも上流のデータです。
予報精度の向上を目的としているため、画像ではなく数値データ(位置情報とレーダーの強度など)を入手する必要があるのです。

このような場合は、各国の気象機関と連携し、データの入手を行うことで予報モデルへの同化が可能になりました。
ウェザーニューズは昨年、ベトナム気象水文局と気象分野における相互協力に関するMoU(Memorandum of Understanding)1、フィリピン気象局と気象分野における相互協力に関する協定(Collaboration Agreement)2を締結するなど、アジア各国との連携を進めてきました。
世界中にはまだまだ公開されていないデータが多くあります。 今後ウェザーニューズは、こうした機関とも連携をしながら、データを共有いただけるよう取り組み、予報データの収集と予測精度の向上、ひいては、世界中の人々の安全に貢献していきたいと考えています。

徹底した品質管理で、気象データ×AIによる新しい価値創造を加速
世界各地から届く膨大な気象データを正しく解析し、実用的な価値へと繋げるための基盤づくりにも力を入れています。
最初の大切なステップが、データの品質チェックです。 世界各地から届く気象データに異常値が混ざっていた場合、一目でエラーだと判別できるように自動でラベリングを行い、予報の計算や学習データから即座に除外できる仕組みを整えています。
もし誤ったデータがそのまま流通してしまうと、予報の精度を損なうだけでなく、機械学習モデルそのものの品質低下を招きかねません。 何より、お客様が誤ったデータに基づいて判断を下してしまうリスクを避けるためにも、この入り口での徹底した管理が極めて重要なのです。
次に、データの1次加工を行います。 実は、ウェザーニューズに集まる気象データはファイル形式も中身のルールもバラバラで、データを見ただけでは、これが何のデータか?この数字や記号が何を意味するのか?など、一目でわかる状態にはなっていませんでした。
そこで私たちは、一般的な用語を用いた統一フォーマットへと整えることで、誰がいつ見ても内容を理解できる状態へと加工しています。
この工程において私たちが特に重視しているのは、人間にとってのわかりやすさはもちろんのこと、AIが迷うことなく即座に情報を処理できる「データとしての扱いやすさ」です。 人間とAIの双方が正しくデータを扱える環境こそが、新価値創造の鍵となります。

こうして磨き上げられたデータを最大限に引き出すために、私たちは社内専用のAIエージェントを開発しました。
これまで専門知識が必要だったデータの検索や抽出、さらには新サービスのプロトタイプ作成や業務効率化ツールの開発まで、現在は非エンジニアでもAIと自然言語で対話するだけでさせることができます。
この環境が整ったことで、社内では価値創造のスピードが劇的に加速しました。 現在、ウェザーニューズが提供する多くのサービスにはAIが組み込まれていますが、その裏側では日々、このエージェントを通じて新しいアイデアが次々と形になっています。
一見すると地道に思えるデータの品質チェックや1次加工ですが、これらの一つひとつのステップこそが、ウェザーニューズが膨大な気象データから新しい価値を生み出し続けるために重要な基礎となっているのです。

世界一の観測データベースを作成し、世界中の人に高精度な天気予報を届けたい
ウェザーニューズでは、世界中の気象現象を正確に把握するため観測網の拡充を続け、2023年からの3年間で34万地点のデータを取得するに至りました。
この膨大なデータに、独自の予測技術と最先端のAIを掛け合わせることで、より高精度な予報や革新的な気象コンテンツを世界中にお届けしてまいります。
私たちの願いは、世界中の人々が気象情報を活用し、安全の確保やビジネスの発展につなげていただくことです。これからも観測データの種類や範囲をさらに広げ、社会に新たな価値を提供し続けてまいります。

