2026.09.01
天気アプリ「ウェザーニュース」が世界中で利用可能に、日本の高品質な情報をグローバルで展開

日本で一番使われているお天気アプリ「ウェザーニュース」1が、世界190カ国の人々が利用できるアプリへ進化し、リリースされました。
このグローバル向けのアプリは、公開2週間で6つの国・地域のアプリストアで 1位を獲得するなど、世界中で利用者が急速に拡大しています。
今回は、「ウェザーニュース」をグローバルに対応させる一大プロジェクトを牽引したアプリ開発リーダーの邉見 萌乃(HENMI Moeno)さんにインタビュー。こだわりの機能や、チームを超えて一丸となって挑んだ開発の舞台裏をたっぷり聞きました。
世界中の人々に、日本品質の気象情報を届けたい
ーー今回の大型アップデートで、ユーザーにどのような体験を届けることができるようになったのでしょうか?
邉見さん : ウェザーニューズが日本で展開する、高精度な予測技術を海外の皆さんにもご利用いただけるようになりました。日本で人気の雨雲レーダーはもちろん、雨雲の接近や気象警報の発表、地震の発生をお知らせするプッシュ通知もご利用いただけます。
日本は島国かつ山脈が多く、台風やゲリラ雷雨が多発する世界屈指の厳しい気象環境です。私たちはこれまで、この環境下で気象技術を磨き上げてきました。
私たちが目指したのは、単に「世界の天気が見られるアプリ」をリリースすることではありません。この厳しい環境で鍛えられ、国内で多くの信頼をいただいている超高精度な予報や通知機能を、そのままグローバルに拡張すること。世界中の人々に「日本品質」の気象・防災情報をお届けし、みなさんの安全をサポートすることです。

ーー今回はアプリ開発チーム単体ではなく、予報センターを巻き込んだ全社的なプロジェクトだったそうですね。開発の過程を振り返っていかがでしたか?
邉見さん : 「海外の天気をどう画面に表示するか」というデザインの話だけでなく、「世界中のデータをどう組み合わせたら、日本と同じレベルの高精度な海外の予報を届けられるか」という、予報の仕組み作りそのものからスタートしました。
予報センターにどうリクエストを出すべきなのか、最初は手探りでしたが、何度も話し合いを重ね、「今技術的にどこまで実現可能なのか」「どんな新しいチャレンジが必要か」をすり合わせていく中で、プロジェクトの核となる『3つの軸』が明確になっていきました。
1、日本品質の「天気予報」を海外ユーザーに届けること 2、全世界に対応した超高解像度の雨予報「雨雲レーダー」を実現させること 3、世界中の警報、地震などの防災情報が見られること
ーー開発の過程で、特に力を入れたのはどのコンテンツでしょうか?
邉見さん : 特に力を入れたのは、既存の日本ユーザーに人気がある「雨雲レーダー」のグローバル対応です。一般的な海外の気象アプリだと、雨雲の予測は大まかで時間単位であることが多いのですが、ウェザーニュースは独自解析によって『1kmメッシュ・10分間隔』、しかも『30時間先』までの予測を見られます。
突然の雨って、本当に焦るし困りますよね。それは海外のユーザーにとっても同じだと思います。世界中どこにいても『雨に濡れる前にカフェに避難できる』『予定を前もって変更できる』という対応策につながる情報を世界中のユーザーに提供したかったんです。
さらにこだわったのが、雨雲レーダーを「グローバル」と「ローカル」の2段階(二階層)で見せる工夫です。 ユーザー個々のニーズに合わせてどちらも使えるよう、世界中を俯瞰できる広域レーダー(グローバル)と、現地の気象レーダーや観測値を反映させたより高精度なレーダー(ローカル)の2種類です。この2種類のレーダーをどう表示させるか、あらゆる表示方法と改善を繰り返し、アプリの動きを何度も細かく調整しました。
最終的には、ユーザーが画面を拡大していった時に自動で切り替わり、データが切り替わった瞬間がユーザーにも伝わるように、画面上にテキストで「データ解像度:〇〇」と表示させるUIに落ち着きました。
(※この雨雲レーダーが、どのようにして開発されたか——その技術的な舞台裏については、別のブログで詳しくお伝えしていますので、詳細は以下をご覧ください!👇️2)
ーー今回、全世界の警報や防災情報も表示できるようになりましたね。国によっては、気象警報が発令されても市民まで届いていない場合があるという、防災上の課題も耳にします。
邉見さん : はい。世界中の警報情報をリアルタイムに収集して地図上に可視化し、57言語に対応しています。また、海外渡航時に、現地で災害にあったときでも直感的に危険度が分かるよう、40種類を超えるすべての気象警報にオリジナルのアイコンを用意しました。
警報内容の詳細を確認できる画面では、ユーザーの設定に合わせた言語で表示するだけでなく、ボタン一つで原文(英語など)に切り替えられる仕様にもしています。
あらかじめ、警報のプッシュ通知機能を設定しておけば、世界中どこにいてもユーザーの位置情報に連動したプッシュ通知が届きます。言葉の通じない環境でもスマホを開けばいつも通りの情報が届く安心を感じていただきたいです。
操作性に妥協はしたくない、膨大なデータ量への挑戦
ーー開発の過程で一番大変だったことはなんですか?
邉見さん : 圧倒的に増えたデータ量の取り扱いです。世界中の気象データを表示させながら、いかにこれまでと変わらない操作性を維持するか、には妥協したくありませんでした。当初、そのまま世界中の情報を地図に載せてみたところ、データ量が多すぎてスムーズに動かなくなってしまったんです。ウェザーニュースアプリが何より大切にしている操作性を、海外対応を理由に落とすわけにはいきません。 そこで思い切って、地図を表示するための基盤技術を全面的に刷新する決断をしました。これによって、大量の雨雲画像やプロット(点データ)を重ねても処理が圧倒的に軽量になり、動作性の課題を乗り越えることができたんです。
ーーウェザーニューズでは近年、積極的にAIを活用していますが、今回のプロジェクトにおいても活用されたのでしょうか?
邉見さん : 今回の開発ではAIを活用しましたが、新しい技術の取り入れ方について大きな学びがありました。 当初は使い慣れたモデルで開発を進めていましたが、より適したモデルの存在を知り、途中で切り替えを実施しました。その結果、コードの精度と出力スピードが大幅に向上し、開発速度が劇的に改善しました。既存のやり方に固執せず、新しいツールを柔軟に検証・導入していく重要性を改めて実感しています。
ーー大変な開発を乗り越える中で、印象的なエピソードがあれば教えてください。
邉見さん : 開発の終盤、データや機能が本番に近い状態まで整ってきたタイミングで、海外出張をする日本人スタッフや海外で暮らすグローバルメンバー向けにテストアプリを配布したときです。
社内から具体的な改善点が次々と寄せられ、チーム内の議論が一気に活発化しました。現地で使ったメンバーから「レイアウトが見づらい」という指摘や、予報データの精度に関するリアルなフィードバックが届いたんです。
アプリチームと予報センターが一体となり、集まった声を一つひとつ改修に落とし込んでいくプロセスは大変でしたが、「世界に届くアプリを作っているんだ」という実感が込み上げ、大きなやりがいにつながりました。
ユーザーの皆さんと一緒により良いアプリへ育てていきたい
ーー最後に、アプリユーザーの皆さんへメッセージをお願いします!
邉見さん : 日本の皆さんが海外旅行やビジネスで渡航される際は、ぜひ現地でウェザーニュースアプリを起動してみてください。いつもと変わらない操作感と品質で、滞在中の安全をサポートします。 また世界中の皆さんにも、この高精度な天気予報を体感していただき、万が一の時に命を守る情報としてご活用いただけたら嬉しいです。
全世界対応の「ウェザーニュース」は、まだリリースしたばかりです。今後は、防災先進国である日本で培ったノウハウに加え、国際機関とのデータ連携、独自の気象AIや最先端の解析技術を融合させていきます。
そして何より欠かせないのが、世界中のユーザーから寄せられる生の実況データ「ウェザーリポート」です。世に出して終わりにするのではなく、皆さんの日々のリポートやフィードバックを取り入れながら、一緒により良いアプリへと育てていきたいと考えています。
世界中の方々にとって「最も頼れる気象プラットフォーム」として進化を続け、生活における防災・減災を通じてグローバルな社会貢献、ひいては企業としてのさらなる成長を実現してまいります。



